AMDの新アーキテクチャCPU「Ryzen 7」登場

ZENの開発コードネームで知られていたAMDの新CPUマイクロアーキテクチャですが、3月頭に「Ryzen 7」の製品名で登場することが決定しました。

まずは統合GPUを持たない8コア16スレッド対応のハイエンドCPUから市場投入されます。

ターゲットはインテルのCoreプロセッサの中でもエクストリームラインのほうの、6コア以上のCPUが直接の競合となります。

今回はAMDの新CPU、Ryzen 7シリーズを取り上げます。

TDP 95Wで8コア3.6GHz駆動を実現

Ryzen 7シリーズはAMDがゼロから再設計を行って作り上げた、完全に新造のCPUです。

インテルがかなり以前のアーキテクチャから、拡張を重ねる形でCPUの世代を重ねてきたのとはとても対照的なアプローチです。

インテルンやり方のほうがリスクは小さくなりますが、その分、無駄が生じてしまいダイサイズや性能面、消費電力などにマイナスと働くとされています。

実際にRyzen 7では、インテルの第5世代のCoreプロセッサと同等のクロック当たり性能を実現しつつ、より小さなCPUコアのサイズと少なめの消費電力/発熱の両方を実現できています。

具体的にはインテルの8コアCPUは140WのTDPになっていますが、Ryzen 7は定格3.6GHz動作を95WのTDPで実現してきました。その代りクロック当たり性能を表すIPC値は最新のインテルのCoreプロセッサには若干及ばず、第5世代のCoreプロセッサ程度に落ち着いているようです。

ただ、第5世代のCoreプロセッサと第6、第7世代のCoreプロセッサのIPC値の差は小さく数%程度の改善しかないはずですので、AMDはCPUの実行効率でおおむねインテルにキャッチアップしたと言ってもよいと思います。

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速くて安い

絶大なブランド力のあるCoreプロセッサに対抗するには、やはり実性能の面とコストパフォーマンスの良さを打ち出すしかないと思いますが、実際にRyzen 7も高性能な8コアプロセッサとしては非常にリーズナブルな価格を実現しています。

インテルの8コアCPUとの比較ならば、大幅に安い価格で入手可能になっています。

ローエンドのRyzen 7 1700であれば、日本でも4万円以下で購入できそうです。(329ドル)

最上位のRyzen 7 1800Xでも日本では6万円程度での販売が予定されていて、競合と目されるインテルのCPUの半額近い安さになります。

アーキテクチャはざっくり第5世代のCoreプロセッサと同じぐらい

結果的にIPC値も第5世代のCoreプロセッサと横並びの性能ぐらいになりましたが、マイクロアーキテクチャ的にも非常にざっくりとみれば第5世代のCoreプロセッサと同等の技術、仕組みが使われています。

CPUを完全にゼロから新造したことによるメリットは性能面にはあまり効いておらず、主にコアサイズの縮小や消費電力の削減方向に働く形となったようです。

8コアCPUでもプロセスルールの進歩とも合わせダイサイズはかなり小さめとなっていますので、チップの製造原価もかなり低く抑えられるはずです。

地味ですがこういった部分の改善もAMDの営業面での成績に効いてくるはずです。

ZENアーキテクチャではハイパフォーマンスPCだけではなく、高性能サーバーのジャンルでもインテルと勝負をする目論見があります。36コアの巨大なサーバー向けCPUの発売も予定されています。

現在インテルの持っているCPUの最大規模のものは24コアCPUまでですから、PCよりもサーバージャンルのほうがインテルにとっては脅威となるかもしれません。

Ryzen 7では内部的にはCPU構成の単位が4コアずつになっているようです。このため、8コアよりも小さなCPUは、当面は4コアCPUまでになる可能性が高そうです。また、より大きなほうへの拡張も4コア単位で行われるものと思われます。

異なる浮動小数点演算性能のアプローチ

AMDは高性能の浮動小数点演算はGPU側に行わせればよい、という発想のようで、この部分はCPU設計の思想に影響を与えているようです。

ベクトル演算命令のAVX2命令の実装にインテルと差が出ています。

AVX2命令は256bitのベクトル演算命令ですが、インテルはそのまま256bitの演算機を実装しています。これに対しAMDはRyzen 7でも128bitの演算機しか作りこみませんでした。このためAVX2命令の性能だけを見ると、Ryzen 7はCoreプロセッサの半分の性能になります。

使用頻度の高い命令ではありませんので、一般的なプログラムの性能に影響を及ぼすことはまずないでしょう。ごく一部、動画のエンコードなどでは絶大な威力を発揮する命令でもありますので、そのようなソフトでAVX2命令をきちんと使うソフトがどれぐらいあるか、そのあたりが評価の分かれ目になるかもしれません。

なんにせよ、やっとAMDがインテルのCoreプロセッサと戦える武器を手にした、そういう印象です。今後、PC向け、サーバー向けのCPU市場がどう動くか、ちょっと楽しくなってきそうです。

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