ニコンDLシリーズの開発中止から見えること

今年2月、ニコンが開発を行なっていた1型センサー搭載高級コンパクトデジタルカメラ、DLシリーズ3機種の開発・発売中止が発表され、非常に大きな話題となりました。ユーザーの間からは悲鳴に近い声も聞こえてきました。

このニュースは、今のデジタルカメラが置かれた状況をある意味とても端的に表している事態でもあったと思います。

今回はこのニュースを振り返ってみます。

映像エンジンに重大な不具合で発売延期から

DLシリーズは2016年の比較的早い時期に発売が予定されていました。それがデジタルカメラでは肝心要の映像エンジンに重大な不具合が見つかったと言うことで、発売が無期延期状態となっていました。

その解決に予想以上の費用がかかったことと、市場の冷え込みを勘案して発売中止の決断に至ったようです。

要因としてはデジカメ市場の冷え込みも大きいとは思いますが、うがった見方にはなるものの、実際には映像エンジンの不具合解決の見通しが立たなかったのが原因かもしれません。

それだけ今の映像エンジンに求められる機能・性能の要件のハードルが高くなっていることの表れです。

イメージセンサーも改良を重ねて少しずつ確実に画質を改善してきていますが、ここ数年は特に高感度画質に関して大きなブレイクスルーはありません。

それでも進む高感度画質の改善は、かなりの部分を映像エンジンの信号処理技術が担うようになってきたイメージがあります。

そういった要求が映像エンジンの複雑化を招き、トラブル解決の難しさ、開発時間の長さにつながっているのでしょう。

DLの開発中止は、そのあたりの余波をモロにかぶった形になったものだったのかもしれません。

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ニコンのデジカメラインアップに足りないピース

DLシリーズの発売中止がニコンにとっても大打撃だったのは間違いがないと思います。今のニコンのカメララインアップに欠落しているピースそのものだったからです。

ソニーやキヤノンの売れ筋コンデジを見るまでもなく、今、不調のコンパクトデジカメの中では唯一明るい要素があるのは1型センサー搭載の高級コンデジだけ、と言ってもいいような状況だと思います。

その重要な鍵となる製品がニコンには欠けています。

ニコンはミラーレス一眼を、同社のデジタル一眼レフとは完全に分離してシェアの共食いを避ける目的で、1型センサー搭載機で完全新設計としました。

ニコン1シリーズが出た当時は、まだコンデジのラインの方が1型センサー搭載機に動くかどうかが見えていなかったため、この決断に至ったのでしょう。

ですが結果的にはその判断が徒となった形に見えます。

ニコン1シリーズがあるがゆえに、ニコンが1型センサー搭載高級コンデジ開発に乗り出すのに出遅れたように思えます。もう少し早くにDLシリーズがラインに乗っていれば、うまく1型センサー搭載高級コンデジの流行の波に乗れていたのではないでしょうか。

DLシリーズの予価は他社製品よりも高めの強気のプライスタグでしたが、その分、機能・性能が高い設定で、タイミングを間違えなければ確実にある程度のパイを奪えていたと思います。

色々な意味で残念ですし、これからのニコンはまだしばらくデジタルカメラジャンルで苦しむ可能性もありそうです。

映像エンジン不具合の影響が気になる

ニコンは2017年のCP+に合わせた新機種の投入もなく、しばらくカメラに関して動きが止まってしまった感じがありました。先日、APS-Cサイズセンサー搭載デジタル一眼レフのミドルハイクラスにD7500が投入され、フリーズ状態は解消したようには見えます。

ただ、D7500の映像エンジンはDLシリーズよりも前の世代と思われるEXPEED5で、DLシリーズで使うはずだったEXPEED6Aのその後が見えていません。

この部分が、今後のニコンのデジタルカメラの展開にどう影響を及ぼすか、気になる点を残している状況なのが気がかりです。

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