人間の目の特性とデジタルカメラによる表現力のギャップ

フィルムやデジタルカメラを作る人たちが実は困っているのではないかというのが、人間の目の性能の高さです。

高解像度で、ものすごくダイナミックレンジも広く、オートフォーカス性能も確か。

こんな目の性能があるために、写真の出力結果をどうやったら目で見た印象に近づけられるか、開発者の人たちは恐らく日々頭を悩ませているのだと思います。

少し人間の目の特性をまとめてみましょう。

画面の傾きに極めて敏感

人間の目の特性の一つとして、画面の傾きに非常に敏感と言うことが上げられます。

水平線がわずか0.5度傾いているだけでも、それに多くの人が気づいてしまいます。

画面をあえて傾けてそれにより何らかの作画意図を出す写真もありますが、それ以外のケースでは画面の水平がきちんと出ていないと、画面からどうしても不安定な感じを受ける写真になってしまいます。

旅客機の離陸着陸の写真などでは、画面の中の絵柄に水平の基準となるものがない場合が多く、おまけに主被写体である旅客機自体が機首を上げて傾いた状態で離陸・着陸をしますから、そういったものに引きずられてどうしても画面が傾きがちです。

撮影時いつでもファインダー内に電子水準器の表示を行えたり、水平からのズレを補正してくれるデジタルカメラ以外では、構えたときに自然とカメラの水平が出るように練習を積んでおく必要があります。

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実質的なダイナミックレンジが恐ろしく広い

フィルムやデジタルカメラと人間の目とでは、明るさの認識の方法が根本から異なるとも言われていますが、写真が表現出来る明暗差と、人間の目が自然に感じることの出来る明暗差の間には、とても大きな差があります。

もちろん、人間の目の方がはるかに高性能です。

これは元々人間の目のダイナミックレンジが広いことに加えて、人間のものの見方にも関係があるのだろうと思います。ここからは少し推測も混じります。

人間の目の解像度が高くて文字を読んだりもののディテイルをはっきりと感じられるエリアは、実はごくわずかしかありません。

大きなもの全体をはっきりと見る際には、細かく視線を移動してもの全体を「スキャン」した後に、脳の中でその狭いエリアで見た画像をモザイク合成して、大きな物体の全体像に構成し直しているのだと思います。

このため、注目した狭いエリアに対して自動的に「露出」を調整して、明るいところから暗いところまでそれぞれに適切な明るさでものを見ているのでしょう。

このため、ただでさえ広いダイナミックレンジが、さらに拡大される形になっているのだと思います。

写真で同じようなことをやってしまうと露出を変えて撮った写真のつなぎ目で、隣り合った写真との明るさの差が明確に出てしまって、とても不自然な仕上がりになります。

このため、パノラマ合成などの際には露出を固定するのが一つのセオリーになっています。

ですが、人間の脳はそのあたり自然に繋がるよう、当たり前に合成してしまっているのだと思います。

理屈はさておき、人間の目では雪を真っ白と認識しつつ、その雪の中でキラキラと光る雪の結晶による太陽光の反射をしっかりと識別する、などといったことが普通に出来ます。こういった表現はデジタルカメラの方では不可能です。

デジタルカメラでこのような雪面の輝きを表現しようと思ったら、キラキラした部分以外の雪は、グレーに見える明るさで撮影するしかありません。

この例の他にもいろいろな部分でどうしても写真の表現と、人間の目の感じ方の間にはギャップが出来てしまいます。

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