HPC向けと一般向けGPUを分離へ?NVIDIAの新GPU

13_02

14nm/16nm世代の製造プロセスを使った新GPUの発表ではNVIDIAが1歩先行しました。HPC(High Performance Computing)向けのTeslaブランドで発売されるチップと、より一般的なパソコン向けのGPUで使われるチップを相次いで発表しています。

この発表の中で特徴的な部分になったのが、HPC向けのチップとパソコン向けGPUチップとで色々な仕様が大きく異なっていたことです。どうやらNVIDIAはTeslaとGeForceシリーズとで、チップを少しずつ分化させていく方向に舵を取りつつあるようです。

GPGPUの流れから

GPUが最初に登場したときには、完全に画面描画用のプロセッサとして特化された形で仕様が決まっていました。GPUを構成するプロセッサはほぼ描画専用の機能に最適化して構成されていました。

それがWindowsの画面描画の枠組みであるDirectXのアップデートに伴い汎用演算が出来るように仕様が変わってきた流れを受けて、GPUの並列演算に極めて強い能力を別方向に活かす目的で、GPGPU、GPUに汎用演算を行なわせよう、という流れが生まれました。この流れの中でGPUが解釈して実行できる処理も、CPUが実行できる処理に近づいていきます。

単純な演算以外の機能は画面描画という観点だけからすると、実はGPUの効率の面ではマイナスに働きます。それでも、画面描画の上でもかなり高度なプログラム処理を行なった描画も使われるようになっていたため、GPUの機能の汎用化は更に進みました。

GPUなどのチップを製造するプロセスの微細化が進んで組み込める回路の規模が大きくなり、それに伴ってGPUの処理性能が跳ね上がると、今度はHPC用途、単純化するとスーパーコンピュータ的にGPUの演算性能を使う利用方法がクローズアップされるようになりました。

NVIDIAではこの流れの初期からそちらの可能性に注目し、汎用演算専用のボードをTeslaのブランドで登場させています。Teslaシリーズを使ったスーパーコンピュータは実際に非常に高い性能を発揮しています。

スポンサーリンク
広告大

HPCとパソコンのGPUの必要な性能には差がある

HPC用途では、演算精度を求められる計算がかなりの割合存在するので「倍精度(64bit)浮動小数点」を扱う機能が求められます。

また、最近では人工知能のジャンルなどのために「ディープラーニング」という処理が注目を集めていて、そちらにもGPUが使われています。この処理では最もGPUが得意としてきた処理の「単精度(32bit)浮動小数点演算」ほどの演算精度は必要なく、半分の16bitの精度で十分だと言われています。この目的で「半精度浮動小数点演算」の機能が盛り込まれるようになりました。

これに対してパソコンの画面描画の演算に用いられるのはほとんどが単精度浮動小数点演算です。この目的に特化するならば、倍精度や半精度の演算を行なうための回路は無駄になります。

この、HPC用途とパソコン用GPU向けに必要となる機能の差の大きさが、そろそろ1種類のチップ(またはアーキテクチャ)ですべてを賄うには限界に来ている状況になっていたのかもしれません。

NVIDIAがTesla向けとGeForce用とで、かなり大幅にチップの中身を変えてきたのはこのあたりの事情が絡んでいます。

Tesla用のチップはかなり大胆にHPC向けに特化

Tesla用のチップはパソコンのGPU用のチップよりもはるかに高価格で取引されます。このため、思い切ってコストのかかる性能向上用の機能を盛り込むことが出来ます。

先日発表されたTeslaシリーズ向けのチップではメモリにはコストのかさむHBM2を搭載していますし、より高速で他のチップとデータをやりとりするための専用インタフェースも新設しました。

こういった内容は、よほどのことがない限りパソコン向けのGPUには入れられないコストのかさむ仕様です。また、倍精度と半精度の浮動小数点演算の性能を確保するための回路もかなり大幅に取り込むことで、非常に高い演算性能も実現しています。

従来は主にTesla向けだった超高性能のチップをGeForce向けにもわずかだけ振り向ける形で、ウルトラハイエンドのビデオカードが作られましたが、今回の世代ではそういった方向はまず取られることはなさそうです。

今後NVIDIAは、さらにTeslaシリーズとGeForceシリーズで使うチップの機能面・性能面での分化を進めていくことになるのかもしれません。

スポンサーリンク
広告大
広告大
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です