デジタルカメラなどの交換レンズにオールマイティはありません

世の中に製品として出ているデジタルカメラの交換レンズも含めたカメラのレンズには、本当の意味での「オールマイティ」と呼べる製品は、恐らく一つも存在しません

機能のある部分を追求すれば、どこか他の部分が犠牲になります。それが工業製品で、また、商品として販売される製品でもあると思います。

その辺りに関して、もう少し詳しく考えてみます。

キットレンズと高倍率ズームの光学性能

あるところの製品レビューで、カメラと別売りの高倍率ズームの光学性能が、ボディーと一緒に販売されるキットレンズに劣るのは納得出来ない、というレビューを見かけました。

キットレンズは、販売価格で見ると1万円から2万円程度。単体で購入しても3万円するかどうかの、デジタルカメラ用交換レンズとしては、かなり安価な製品です。それに対して5万円以上するようなレンズが、性能面で劣るというのは納得出来ない、というのも分からないではない気もします。

ですが、レンズの設計・製造の難しさを考えてみるとどうでしょう?

キットレンズの標準ズームのズーム比はせいぜい3倍程度。それとズーム比10倍を超えるレンズを同等に扱ってもいいものでしょうか?

恐らく、設計の難易度は高倍率ズームレンズの方が何十倍も難しいはずです。レンズ構成も大変複雑になりますし、それを今ある高倍率ズームレンズのようなサイズ・重さにまとめ上げるには、大変なノウハウが詰まっているはずです。

また、極端に高価なレンズが出来上がってしまったら、そのレンズがいくら高性能でもたくさん売れることはありません。そのあたりのバランスをギリギリまで追求しているのが、今、実際に製品化されているレンズなのだと思います。

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ズームレンズは重くて開放F値が暗い

高倍率ズームレンズの開放F値が暗い、というのもよく言われることの一つです。

これもレンズの設計・製造、販売価格などの兼ね合いからまとめられたのが今売られている製品でしょうから、今の設計・製造技術、生産能力などの点から、きちんと商品として成立させるには、今現在ではあれぐらいの製品が限界なのだと思います。

もしも、レンズのサイズを今の5倍、重さを10倍、お値段を100倍まで許容出来る、という市場ニーズがあるのならば、今よりもずっと明るくて性能も良いズーム比10倍を超えるような高倍率ズームレンズを作ることも可能でしょう。

野球場で使われるテレビカメラのレンズや、スタジオで使われているテレビカメラのレンズを見れば、その辺りの事情は想像が付くのではないかと思います。

今の光学・工学技術をもってすれば、明るくて高性能で、ズーム比も高いレンズを作れないわけではないのです。ただ、それが使い途や製品の価格として市場にマッチするものにならないと言うだけのお話で。

シグマにはAPS-Cセンサーを採用するデジタル一眼レフ専用のレンズとして、18-35mm/F1.8という驚異的な明るさを持つズームレンズがあります。このレンズには、重い、というレビューが付けられることが多いようですね。たしかに、スペックシートでは810gという重量になっていますので、決して軽量級のレンズではありません。

ですが、ズームレンズでF1.8という開放F値を実現していること自体が、それだけでレンズの常識から考えると「驚異」です。

しかもそれをウリ文句のための見かけだけのスペックには留まらせず、同程度の明るさの単焦点レンズすら超えるような、これまた驚異の高画質性能で実現して見せたところがものすごいことです。

確かに大きくて重いレンズですが、このレンズで代替出来る単焦点レンズは、18mm、20mm、24mm、28mm、35mmの5本。単焦点レンズでも広角レンズのF1.8というのは非常に明るいレンズになります。

このレンズの重さを云々するのだとしたら、この5本を持ち歩くことも頭のどこかに置いておかないといけないと思います。

いろいろなものを度外視すれば、完璧に近い製品は作れる

結局のところ、レンズは「芸術作品」ではなくて「工業製品」である、ということではないでしょうか。商品としてきちんと売れてナンボの世界、という部分は切り離して考えられません。

サイズも重量も価格も一切の制約を設けずに作れば、どのジャンルの製品でも、普通の人が考えるレベルを軽く超える製品は作れるでしょう。ただそれをやってしまうと「商品」として成立しなくなることがほとんどでしょう。

そこをどうバランスを取りつつ、どれだけ性能を上げられるか、各メーカーとも、その落としどころを探り続けているのではないでしょうか。

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