変わるデジタル一眼レフのミラー駆動メカ

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一般的に多くの人がカメラのシャッター音として思い浮かべるのは、一眼レフの「カシャン!」という、いかにもメカっぽい歯切れの良い音なのではないでしょうか。

おそらくその関係もあって、コンパクトデジカメやスマートフォンのカメラのシャッター音は一眼レフを意識していると思われる音を、わざわざ「再生」して作り出しています。

メカシャッターのないスマートフォンでは本来撮影の際に音は出ません。また、コンパクトデジカメでもシャッター音はとても小さく、雑踏の中では写真を撮ったかどうか分からないレベルの音しか出ません。

今は盗撮防止の意味もあると思いますが、それと同時に撮影する人が「撮った!」という感触を音の面から感じるための演出の目的もあって、わざわざ電子的にシャッター音を再生しているのでしょう。

実は、この一眼レフのシャッター音が少しずつ変わっています。

今回は一眼レフのシャッター音に大きな影響を及ぼす、ミラー駆動のメカのトレンドをご紹介します。

元々はバネ駆動

元々一眼レフのシャッターもミラーも、駆動のパワーの源はバネでした。駆動に必要なパワーとレスポンスを簡単に得られる、というのが理由だと思います。

フィルム時代のカメラならば、「巻上げ」動作がシャッターやミラーを動かすバネのチャージを行うための動作でもありました。

バネ駆動は非常に素早いメカ部分の動作を可能にしてくれますが、バネで駆動されるパーツは一度動き出してしまうと動作中の制御がほとんど効きません。

一眼レフのミラーであれば動作を止める際には、ミラーがストッパーの部品に「衝突」するような状態になります。

これがある意味一眼レフらしい、やや大きくメカっぽいシャッター音を作る大きな原因でした。

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モーターによる直接駆動

カメラが電動化するに従って、シャッターやミラー駆動用のバネのチャージもモーターによるものに変わっていきましたが、最近になるまでミラーやシャッターを直接モーターで駆動する仕組みはなかなか取り入れられませんでした。

それだけバネ駆動のパワーがあって、カメラを高速で動かすには適したシステムだった証明でもあります。

それがここに来て少しずつ、ミラーも直接モーターで駆動する仕組みを採用するカメラが増え始めました。一般的なカメラ向けの電圧や容量の限られたバッテリーでも、モーターで十分なパワーなどを出せる制御の工夫が行えるようになったのかもしれません。

おそらく最初にモーターによるミラー駆動を大々的に打ち出したのは、キヤノンのEOS 7D MarkIIではないかと思います。

EOS 7D MarkIIは毎秒10コマの高速連写を実現しつつ、ミラーユニットも直接モーター駆動とすることで様々なメリットを生み出したカメラです。

逆にミラーをモーター駆動にしないと、一般向けのバッテリーの性能の制約の中では、毎秒10コマの連写は実現できなかったかもしれません。

ミラーのバウンドやミラーショックも制御

ミラーを直接モーター駆動することで、ミラーが停止位置に入る直前に駆動速度を落して(ブレーキをかけて)、ストッパーにミラーが「衝突」することを避け、「軟着陸」するような状態を作り出せます。

これによりミラーショックが大幅に減ります。

また、ミラーがストッパーに当たって跳ね返る「バウンド」も大きく減らすことができ、高速連写中の光学ファインダー像を今までよりもずっと安定させることも可能になります。

いわば、いいことだらけの技術なのです。

この結果、ミラーが動作中に出す音も大幅に小さくなるため、シャッター音は一眼レフらしい音を保ちながらもボリュームはかなり小さくなりました。

さらにモーターの回転数の制御でミラー駆動速度を抑えることにより、光学ファインダーを使いながらシャッター音とミラーショックをさらに軽減できる「ソフトシャッター」的な機能の実装も可能になっています。

EOS 7D MarkIIのソフト連写モードでは、初めてその音を聞くととても一眼レフが動いているとは思えないような、静かで柔らかいシャッター音が実現されています。

今後も採用機種は増加

キヤノンでは超高画素機のEOS 5Dsシリーズでも同様の機構を採用してミラーショックを大幅に軽減し、実使用での微少な手ぶれを抑える工夫を凝らしています。

筆者は先日メインの一眼レフをEOS 7D MarkIIに乗り換えたのですが、ミラーショックの小ささには正直とても驚いています。感触的にはシャッタースピードの低速側の手振れ限界が1段広がるぐらいの雰囲気があります。

ミラーの駆動速度を自在にコントロール可能になることで、もしかしたら他にもっとユニークな機能の活用法も生まれるかもしれません。

今後もこの技術を採用するカメラはどんどん増えていくことになるでしょう。

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